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2024年4月に2年に1度の調剤報酬改定が行われました。
今回の改訂で新設された「特定薬剤管理指導加算3」は医薬品リスク管理計画(RMP)に基づく説明資料を活用することで算定できます。
ところでRMPについてご存知でしょうか?
「聞いたことはあるけど、活用したことがない」という方もいらっしゃると思います。
事実、筆者も薬局で働いていたころはRMPについて理解できていませんでした…。
ファーマコビジランスで働くようになり、RMPの大切さに気づきました。
そこで今回は元薬局薬剤師で現役ファーマコビジランス部員の筆者がRMPについてご紹介します。
この記事を読んで新設された「特定薬剤管理指導加算3」を算定しましょう!
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【特定薬剤管理指導加算3】医薬品リスク管理計画(RMP)とは
医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)は、医薬品の開発から市販後まで一貫したリスク管理をひとつの文書にまとめたものです。
RMPは調査や臨床試験、その他リスクを低減する活動の進捗に合わせて適宜更新されます。
RMPはPMDAのホームページ(RMP提出品目一覧)で公開されています。
公表することで、当該医薬品のリスクについて医療従事者の方と共有して、市販後の安全対策の強化を狙っています。
(参照:医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan);PMDA HP)
RMPには何が書いてある?
RMPは「安全性検討事項」「医薬品安全性監視計画」「リスク最小化計画」の3つの要素から成り立ちます。
(引用元:今日からできる!How to RMP~RMPってなに?編~ PMDA)
RMPはPMDAのサイトから閲覧可能です。
RMPを閲覧したい医薬品が見つかったら「RMP」をクリックするとPDF形式で閲覧できます。
ここではアイクルシグ®錠15mgを例にRMPを見ていきましょう。
RMPを開くとまず概要が書いてあります。
概要には最初にお伝えした3要素が記載されています。
概要ページの青文字部分はリンクになっており、リンク先に詳細が記載されています。
では、そもそも3要素には何が書いてあるのか詳しく説明していきます。
安全性検討事項
治験や市販後で得られた情報をもとに安全性検討事項≒リスクを特定します。
このリスクは以下の3つに分類されます。
RMPの特徴はすでに判明したリスクだけでなく、潜在的なリスクや不足した情報についても記載があることです。
「重要な特定されたリスク」は添付文書に記載があるけど、
「潜在的リスク」や「不足した情報」は添付文書に記載がありません。
医薬品安全性監視計画
医薬品安全性監視計画にはそれぞれのリスクをどうやって情報収集するのか、活動計画が記されています。
活動計画は「通常の活動」と「追加の活動」2種類に分けられています。
通常の活動…副作用の情報収集
追加の活動…市販直後調査による情報収集、使用成績調査など
簡単に言い換えると情報収集の方法について書いてあるのが、医薬品安全性監視計画です。
リスク最小化計画
リスク最小化計画は字面のとおりリスクを最小にするために必要な活動の計画について記されています。
こちらも「通常の活動」と「追加の活動」に分類されます。
通常の活動…添付文書、患者向医薬品ガイド
追加の活動…適正使用に関する資料の配布、市販直後調査による情報提供
リスク最小化計画は情報提供の手段について書いてあります。
ちなみに、追加のリスク最小化活動として作成される資材にはRMPに基づく資材であることがわかるように、資料にマークが付けられています。
【特定薬剤管理指導加算3】RMPと添付文書の違いについて
RMPと添付文書の大きな違いは潜在的なリスクなど、まだはっきりとは確定していない段階でのリスクの記載があることです。
また、それぞれのリスクがなぜ選出されたのか理由が詳細に記載されています。
(例)アイクルシグ®錠15mgの場合
RMPの場合はリスクとした根拠が記されている
添付文書の場合はそれぞれの副作用の発生頻度等が記載されている。
また、潜在的なリスクも同様にリスクとした根拠が機序などとともに記載されています。
何が原因でリスクになっているのか把握することで、患者さんにリスクが起こりやすいのか否か判断する材料になります。
例えば、そのリスクが起こるのが人種差によるものなら、日本人の患者さんに投与する場合はそこまで影響ないかな、と判断できると思います。
【特定薬剤管理指導加算3】RMPを見るタイミングはいつ?
ではこのRMPはどのタイミングで確認するのが効果的なのか、確認するタイミングについてご紹介します。
初めて扱う医薬品があるとき
新薬や今までに対応したことない薬が処方されているときは色々と確認事項があり、服薬指導前はバタバタしてしまいますよね。
特にリスクについては正しく患者さんにお伝えしないと、患者さんが服用を拒否してしまう、安全性を脅かしてしまう危険性があります。
服薬指導前にRMPを全て読むのは時間がかかってしまうため、見るべきポイントをお伝えします。
1.安全性検討事項は何があるか?
どのような安全性検討事項があるのか概要のページでざっと確認しましょう。
ここでどのようなリスクが起こりやすい薬なのか全体像を把握します。
例えば、既往歴に血栓症がある患者さんに新たにリスクとして血栓症が挙げられている場合は
より、注意が必要になるから患者さんにも念のためお伝えしておこう!などと考えるといいと思います。
2.患者向け資材はあるか
追加のリスク最小化活動として患者向け資材が提供されていることがあります。
概要ページで患者向け資材があるか確認し、もし患者向け資材がある場合は服薬指導時に患者さんにお見せすると患者さんもイメージしやすくなります。
患者向け資材はPMDAのホームページや各企業のホームページなどからダウンロードできることがほとんどです。
頻繫に利用するものはMRさんに依頼して資材を頂くのもいいと思います。
患者向け資材は専門用語が簡単な言葉に言い換えられているので、言い回しも勉強になります!
薬剤師にとって初めて扱う薬があるときにRMPを確認するのはもちろんですが、
患者さんにとって初めての薬があるときも確認するとより服薬指導の質が上がります!
副作用が疑われるとき
薬を服用中の患者さんで副作用が疑われると、まず添付文書を確認すると思いますが、併せてRMPも確認するようにしましょう。
RMPにはリスクが発現する機序の記載や、潜在的なリスク(添付文書未記載)のリスクがあります。
これらの記載が副作用が疑われる原因薬剤を特定する手助けになることも。
【特定薬剤管理指導加算3】さいごに
今回は新設された「特定薬剤管理指導加算3」の算定に向けてRMPについてご紹介しました。
あまり聞きなじみのない資料だったかもしれませんが、添付文書とはまた違った視点でリスクについて記載されており、服薬指導に役立つ資料です。
また、服薬指導だけでなく、自己学習の際にも役立つ資料ですので今後はぜひ活用して、「特定薬剤管理指導加算3」を算定していきましょう!
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