ファーマコビジランス職というものをご存じでしょうか?どの製薬会社でも行っている、医薬品を製造販売する上で欠かせない大切な職種です。あまり聞きなじみのない職種ですが、薬局薬剤師が未経験で転職するのにおすすめの職業の一つです。今回はファーマコビジランス職がどのような仕事をしているのかファーマコビジランスの概要をお伝えします!転職活動している方だけでなく、新卒での就職活動をしている方にも役立つ情報なのでぜひご覧ください。
ファーマコビジランスの仕事内容
そもそも、ファーマコビジランスって何?
ファーマコビジランス(Pharmacovigilance)とは「pharmaco(薬の)」と「vigilance(監視)」という単語を組み合わせた造語です。
世界保健機構(WHO)では、「医薬品の有害な作用または医薬品に関連する諸問題の検出、評価、理解及び予防に関する科学と活動」と定義されています。
わかりやすく説明すると、薬の安全性を監視することを意味します。
「クスリはリスク」と言われるように、どのような薬にもリスク(副作用)は付きものです。
医薬品服用によって起こる好ましくない事象(有害事象)を収集し、記録、評価を行うことをファーマコビジランス活動といいます。
これらの活動は医薬品の開発段階から市販後(もっと言うとその薬が完全に世の中からなくなるまで)と薬のライフサイクル全てにおいて行われます。
ファーマコビジランス活動を行うことでいち早く薬の危険性に気づき、リスクをなるべく起こさないようにすることで薬の安全性を守ります。
医薬品を販売する上で、なくてはならない仕事です。
ちなみに…副作用と有害事象の違いって何?
- 有害事象(AE: Adverse Events)…医薬品の投与後に起きた、あらゆる好ましくない医療上の出来事。必ずしも因果関係があるとは限りません。
- 副作用(ADR: Adverse Drug Reaction)…有害事象のうち、医薬品との因果関係が疑われる出来事。
ファーマコビジランス職の使命は?
ファーマコビジランス職の使命はずばり、すべての患者様、医療従事者に安全な医薬品をお届けすることです。
医薬品の服用によって起こった有害事象の情報は世界中から集められます。
それらの情報を医学的・薬学的に評価をし、データベースに蓄積し、必要に応じてPMDAや世界中の機構に報告をします。
万が一、予期しない副作用が多発しているなどの傾向が見られたときは速やか安全措置を実施します。このようにすることで医薬品の安全性を守ることがファーマコビジランス職の使命です。
ファーマコビジランスには色々な仕事があるけど基本は
「クスリのリスクから患者様を守る!」です。
ちなみに…
市販後製品の安全性情報の収集にはMRさんの存在が欠かせません!
MRさんと協力しながら、医療従事者の方から必要な情報を提供していただきます。
ファーマコビジランスのやりがいは?
ファーマコビジランスのやりがいは安全性の観点から患者様の治療に携われることです。
普段はデータばかりを見ていて直接患者様と関わることはありませんが、その向こうには常に患者様の存在があります。
収集した情報について、いち早く医療従事者の方々に届けることで、医療従事者の方々を支えることもできます。
また、医薬品の早期承認を行う上で安全性は無視できないものです。
積極的なファーマコビジランス活動を行うことで今までよりも早く承認が下りる可能性もあるため、将来性もあります。
わたしは以前、臨床試験中の医薬品を担当しました。
臨床試験中の製品は市販後の製品に比べて評価する際の情報が少なく大変なことが多かったですが、無事にその医薬品が承認されたときは、非常にやりがいを感じました!
働く場所は製薬会社だけ?
ファーマコビジランス職は製薬会社だけでなく、CRO(医薬品開発業務受託機関)や医療機器メーカーで働くことができます。
残念ながら製薬会社だと未経験での求人が出ることは稀ですが、CROの場合は未経験での求人が出ることがあります。
さいごに
今回はファーマコビジランス職とは何かについてお伝えしました。
ファーマコビジランス職について少しでも理解が深まっていたら幸いです。
別の記事ではファーマコビジランス職に必要なスキルや大変なことなどをお伝えいたします!
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